By   2011年8月2日

Ⅰ.霧箱(ベータ線)基本編

▒ 3.霧箱の原理―――霧箱の飛跡はなぜ見える?

  ❐霧箱で見えているのは、何?

10円硬貨α線小右の写真では、霧箱の中のユークセン石からあらわれては消える、白いひこうき雲のようなものがみえます。これは、アルファ線が通った跡です。
(アルファ線の飛跡は、霧箱の底をはうように進んで行くことが、10円硬貨と比較すると分かると思います。このように飛跡が見える層は薄く、これを過飽和層と呼んでいます。この霧箱の状態では、10円硬貨の厚さ1.5mmなのでおそらく、飛跡が見える過飽和層の厚さは3~4mm程度であることがわかります。アルファ線は同じ速度でランダムに放出されているので、もし過飽和層がもっと厚ければ飛跡は半球状に広がる様子になることが想像できるでしょうか。

このアルファ線の正体は、高速で進むヘリウムの原子核であまりに小さい粒子なので、電子顕微鏡でもその姿をとらえることはできません。

では、なぜ霧箱を使うと、電子顕微鏡でも見ることができないそんなに小さなものが通った跡を目で見ることができるようになるのでしょうか。それを次に考えてみましょう。

  ❐原子核のつくるひこうき雲

青空に伸びるひこうき雲。あれは、飛行機のエンジンから噴きだす水分と排気ガスの小さなチリが急速に冷却され、チリを核にして、水分が次々にくっついて、急激に成長し目に見える水滴の粒子になり、雲ができるのです。

霧箱の中でも、これと同じようなことが起こっているのです。霧箱の場合は、水分の代わりにエチルアルコールで充満されています。
アルコールがたくさん含まれた空気の中を、放射線(=アルファ線)が猛スピードで通り過ぎる。すると、強い風で木の葉が吹き飛ばされるように、原子核の通り 道の空気の原子の中の電子がはぎとられます。アルファ線の通った跡には、大量の電子と電子を剥ぎ取られた原子(=イオン)がとんでもない数が残ります。これを核にしてアルコールのひこうき雲ができ、目に見える大きさに成長し、原子核のつくるひこうき雲ができていくのです。

  ▓ 4.アルファ線の枝毛?を見つけてみませんか。―――アルファ線の散乱

❐皆さん、霧 箱でアルファ線を観察できたでしょうか。長い飛跡や短い飛跡、太い飛跡や細い飛跡、さまざまな飛跡が次々に現れては消え、消えてはまた現れてきます。霧箱でアルファ線を見ていると、一つの飛跡が発生してから消えるまで約0.5秒くらいかかりますが、実際のアルファ線の一生は、とんでもなく短く、約1億分の1秒で終わっています。

*アルファ線の発生ー消滅までの時間を計算するデータ
アルファ線の速さ:光の速さの20分の1(光の速さは3億m/s),その間に進んだ飛跡の長さは、約6㎝。→所要時間約1億分の1秒

霧箱を使うと、わたしたちはアルファ線の一生の時間1億分の1秒を0.5秒まで拡大し、まるでスローモーションでもみるようにゆっくりと観察できるようになります。とても不思議でありがたい効果ですね。

 こうした効果から、飛跡をじっくり観察していると、とんでもない現象がみつかります。みなさん、右の写真のアルファ線の先端部(丸で囲んだ中)に、飛跡が髪の毛の枝毛のように2つに分かれているのがみえますか。この現象にほとんどの人が、気がつきません。

α線の飛跡の先端部で 空気中の原子核 (恐らく窒素か酸素の原子核) に衝突し進路を変えている

アルファ線の飛跡の先端部で 空気中の原子核に衝突し進路を変えていく上のような現象を見つけることがありませんでしたか。衝突面が水平でない場合は、分岐の枝が1本しか見えない場合もよくあります。

たぶん飛跡の初めの部分だけ見て、終端の部分までは見ないためです。これはアルファ粒子(アルファ線と同じ意味)が何かの粒子と衝突している現象です。飛跡が2つに分かれているのは、アルファ粒子によって突き飛ばされた粒子の飛跡新しくできたからです。

アルファ線の飛跡の枝毛は、アルファ線が空気中の原子核に衝突した痕跡です。

❐☆みなさん。、霧箱の飛跡をじっくり見て「枝毛の飛跡」探してみましょう。
枝毛が1本だけの場合も含めれば、枝毛の飛跡を多分、1分間に1,2ヶはさがせると思います。スマホで動画撮影して、ゆっくり飛跡を調査するのもよいでしょう。枝毛の飛跡が見つかったら、いよいよ入門編を終わり、発展編に進み、一体この現象がなんなのかを解明していきましょう。

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0.霧箱で見る様々な放射線

1.霧箱の作り方――ドライアイス用

2.霧箱の作り方――液体窒素用

3.霧箱の飛跡は、何故見える

4.霧箱で見るアルファ線の一生
5.アルファ線の枝毛の飛跡を見つけよう

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