Ⅲ . ベータ線
1. ベータ線とその飛跡
アルファ線用霧箱の説明が終わり、次にベータ線霧箱の説明をしたいと思います。
ベータ線の飛跡はとても細いので、それをみるための霧箱は、感度を大幅に高めなければなりません。アルファ線の霧箱ではアルファ線の飛跡が見えるまで1分くらいしかかかりませんでしたが、今度は5分くらいはかかります。糸のように細いベータ線がみえる状態ができると、その霧箱ではベータ線のほかに反電子、X線が作る飛跡や宇宙線も見ることができるようになります。一気にさまざまな高エネルギーの粒子が行き交う世界をのぞき見ることができるようになります。
豆 電球が点灯しているとき回路に電流が流れ、電子は導線の中をカタツムリくらいの速さで移動しています。その電子が、今度はとんでもない速さで原子核から飛 び出してくると、それを 「β線」(ベータ線)と呼んでいます。電流もβ線も正体は、同じ電子ですがエネルギーの大きさは全く違います。
(左画像:グローランプから出るベータ線・クリックで拡大します)→
2.β線霧箱
アルファ線用の霧箱でも、実はベータ線の飛跡はできています。ただ、電子はヘリウムの 原子核に 比べ質量が約2万分の1も小さいので、アルファ線のようにはたくさんのイオンは作れません。そのためベータ線の飛跡はクモの糸のようにとても細く、見えにくいの で、飛跡ができていてもほとんどの人は気がつきません。
その見えにくさを解決するために、アルファ線の霧箱に少し工夫を加えたものがベータ線霧箱です。原理はアルファ線霧箱と同じです。まず、ベータ線の飛跡がどういう風に 見 えるのか、霧箱を運転する様子と飛跡をビデオで見てみよう。ベータ線が見える霧箱ができれば、反電子の飛跡もみえていることになります。
STEP2 : ビデオでベータ線の飛跡をみよう
Ⅲ . ベータ線