By   2011年8月4日

1.無重量ビデオ「Toys In Space」、ビデオ「Twelve Skylab Film」
2.演示実験 エアトラック
3.アリストテレスの力学とニュートン力学

4.慣性と力による運動の説明

1.無重量ビデオ「Toys In Space」、ビデオ「Twelve Skylab Film」

WEB物理 力学 授業プリント 慣性の法則 ビデオ [ 授業プリント ]
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慣性の法則理解のための映像と実験装置

「重さの慣性」のミスコンセプション

生徒と話をしていると、「物体に重さがあるので動きにくい/止まりにくい」と考えている生徒がかなりいます。重さがあって摩擦がないから等速度運動をすると思っているようです。また、手で押せば、その力が手から離れた後でも物体に力が残っているととか、生徒は慣性にまつわる手ごわいミスコンセプションをたくさん抱えています。

こうしたミスコンセプションの研究は、すでに様々な角度からなされ、近年みる論文のほとんどが、同じことの繰り返しや整理の仕方の違いくらいであり、掘り起こしはほぼ出尽くしていると言うのが現状でしょう。ただ、これをどう解決していくか、という点の本格的提言は、ほぼ皆無ではないでしょうか。こうした状況でWEB物理の提案は本格的な内容ですので、これからアップロードする力学の後半も含め、是非お読み下さい。

無重量ビデオを使う

いくら慣性にまつわるミスコンセプションがあるからと言って、こここで重さと質量の区別の話をすると、慣性の話を無用にむずかしくしてしまいます。
そこで、まず「無重量空間」における物体の運動のビデオ映像のできるだけわかりやすい例を多く生徒に観察させ「重さ」も「まさつ」もないときの物体の運動が等速度運動であることを確認させるようにします。
下にあるのがそのサンプルビデオです。

ビデオ「慣性の法則」のダウンロード

2.演示実験 エアトラック
3.アリストテレスの力学とニュートン力学

WEB物理 力学 授業プリント 慣性の法則 エアトラックなど

おもりをつけたエアトラックの実験

無重量状態の運動例を一通り見たあと、地上でも同じ物体の運動をするのではないか、という視点でエアトラックの運動の演示実験に入っていきます。
このとき、力がつりあって合力=0は、力が全く加わっていないのと同じであるのを示す意味で(問6)の実験も一緒に実施すると説得力があります。

WEB物理 力学 写真 エアトラック-1
見えにくいかもしれませんが、左右に100[g]のおもりを糸でつるしています。

WEB物理 力学 写真 エアトラック-2
エアトラックの左右両端に糸をつけ、おもりをつるす。

WEB物理 力学 写真 エアトラック-3
まさつを徹底的に小さくするのがこの実験のポイントでしょう。
写真の滑車は、そういう点から、なかなか良くできています(中村理科で販売)。

「力と速度は無関係」→「力と速度変化の関係は?」への展開

慣性のところでは、一定の速度で進み続けるかぎり、1[m/s]だろうと100[Km/s]だろうと力はいらないので「無関係」ということの確認が大切になります。そして次の単元では、「力と速度変化」の関係はどうなるのだろうかと、次の課題に実験「ちょいおしの実験」(小野他)で取り組むことになります。
この流れを作るために慣性の法則(1)のプリントに「宇宙飛行士たちは実感的に述べている」と「スペースシャトルから外出するとき命綱はあったか」(「力学は宇宙船に乗って」広井)という記事と問2,問3を入れています。

そのあと、慣性の映像、実験を経て(問8)(2)につながっていきます。
そして、一定の速度は力と無関係だが、速度が変化するのは力と深い関係がありそうだ。その関係は?となり「ちょいおしの実験」でたしかめるという展開になっていきます。こうした展開の流れは、この授業プランの骨格ですので授業実践でご留意ください。
(慣性が力学前半のヤマです。)

4.慣性と力による運動の説明

WEB物理 力学 授業プリント 慣性の法則 慣性と力による運動の説明

「進もうとする力」を「慣性」に置き換える課題

こうした無重量状態の映像を見たときには「物質が等速運動をするのは慣性」によってであると言いますが、シチュエイションが変わると生徒はすぐ物体が進むのに力の矢印を記入し、「進もうとする力」の路線に戻ってしまいます。
少しでもそうならないように課題を設定しています。
投げ上げの運動で、重力は下向きであるにもかかわらず上向きに進むことを「慣性」と「力」で生徒に説明できるようになるための課題を用意しています。その中のもっとも大切な問いは(3)のイです。
「もし物体に重力が働いていないとすると、物体は慣性により鉛直上方に等速運動をしようとする。しかし物体に重力がはたらいているので、減速しながら上昇運動する」という説明の仕方を、生徒自身でできるようになるのが狙いです。特に「もし重力が働いていない場合」と仮定法の文章で「力と慣性」を再構成していくのは、P∩Eで提案された、とても優れた視点です。そこに到達するために、(1)(2)(3)の順番で文章化させようというものです。このあと問11、問12に取り組ませ、「物体が持っている力」ではなく「慣性」で物体に運動を再構成していけるようにしようとしています。

ここで展開しているプリントの原型は、P∩Eでの研究プリントや、P・ヒューエットの著作によるところが大きく、現在の展開に整理されていくまで、私の問題の理解の浅さもあり4~5年のあいだ試行錯誤の繰り返しでした。現在のバージョンで一段落しましたが、この辺の改善は、生徒のミスコンセプションに対するの理解の深さが問われるところです。これからの研究次第でより改善された展開を期待できるところだとおもいます。

動かないの慣性の実験の扱い

下図のような実験がよく慣性の単元で取り上げられています。急に糸を引くときと、ゆっくり糸を引くときとで、切れる糸が違う。そのことから慣性に気づかせるという実験だと思います。この種の実験は、ほかにテーブルクロスをひく実験、瓶の口に物体を落とす実験などありますが、この展開では、意識的に取り上げるのをさけています。

WEB物理 力学 写真 エアトラック-4

 予想外の結果や実験のおもしろさが、確かにここにはありますが、なぜ動きにくい慣性で下の糸がきれるのか、という説明になると運動の法則による説明にならざるを得ないからです。質量が一定で加速度を大きくしようとすると力を大きくせざるを得ないとういうふうな説明になるので、運動の法則を理解した上でもう一度慣性を問題にするときの教材のような気がします。

また、この実験を慣性で取り上げることで、生徒によっては、慣性そのものが大きくなっていると、誤解しないだろうかと、危惧もします。こうしたことを考慮して動かない慣性の実験はとりあげていません。

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