By   2011年1月2日

無重量映像を生かした慣性の演示実験(力学1-1)

はじめに

慣性の法則を説明するさいには、エアトラックの実験装置やCDなどを使った風船のエアパックを使った実験などは、欠くことのできないものだと思います。

こうしたまさつの少ない実験装置は地上で「物体は力を受けなくても運動し続ける」ということを体験させることにねらいがあると思います。そして、物体が運動しつづける原因は力ではなく、「慣性」であることを説明していきたいところですが、生徒の感覚の中には、「重さ」と「動き続ける力」というものが分かちがたくむすびついているようです。

こうしたことから慣性の法則の説明は、先に「無重量状態での慣性」のあと、「地上の実験」の順序で提示すると、生徒は重さと慣性の混乱にひきずられにくくなるのではないかと思います。

「慣性」と「進もうとする力」で揺れ動く生徒

実際に、エアトラックの実験をしながら「慣性」の法則の説明をしてみると、エアトラックの実験装置の前では、生徒は一応、慣性を納得したかの如くの態度をみせます。しかし、場面がかわるとたちまち「進もうとする力」で説明する考え方に戻っています。

自然科学の歴史の中では慣性を発見するために膨大な時間がかかっています。それを考えれば、生徒が一つの実験でたちまち考え方を一新するような劇的な変化をとげると期待するのは、楽天的すぎると言ったほうがよいかもしれません。

エアトラックの実験を見ている生徒は、いままでの「進もうとする力」から「慣性」という新しい考え方との間でゆれうごきはじめたのが実情ではないか、という気がします。これだけでも大変な変化だろうと思います。また、多くの生徒は、慣性の法則で物体がいつまでも動き続けるのは、「物体に重さ」があるからだ、ともよく誤解しています。これは重さがある現実の生活感に根ざした発言だけに、なかなかてごわい思いこみです。そうした思いこみを解きほぐし、まちがいをどう納得させるのかは、簡単ではありません。

無重量ビデオを使う

そうしたことから、慣性の法則は、まず無重量状態での物体の運動を提示していくとこから始めた方が良いと、私は思います。宇宙飛行士が生活するいろいろなシチュエイションでの物体の運動を映像で観察させます。そして無重量状態での物体の運動についての感覚を積み重ね、そのあとに地上のエアトラックの演示実験に進むのが、生徒の慣性の考え方を構成させていくのによい流れになるように思われます。
また、宇宙を舞台に慣性を説明していくと、等速度運動する物体の速度と力が無関係であることもあからさまに見えてきます。
宇宙空間で、1[m/s]で運動しつづける物体も1000[m/s]で運動し続ける物体も力と全く無関係に飛び続け、そして去っていく。こうしたイメージは地上ではとても作ることはできません。

エアトラックの実験の新しい視点

無重量状態での物体の運動からはじめると、こんどは重さがないので、物体はどこまでも動き続けるのだと慣性と重さを逆の誤解で関係づける可能性がでてきます。こうして地上でのエアトラックの実験が新しい視点を持ち、効果的な存在になると思います。

「無重量ビデオ」の定番はないのだろうか

 生徒に無重量状態での宇宙飛行士の日常生活を見せながら、慣性の法則があたりまえのように感じるようになればとても効果があるとは思いますが、では、それにぴったりあった市販ビデオがあるのかというと残念ながら、見あたりません。そこで、やむをえず宇宙関連の組織で製作した宣伝ビデオやテレビで放映されるその種の映像シーンをかきあつめて編集することになるとおもいます。多分、そういうたぐいのそれなりの映像を持っている人は、かなりいらっしゃるのではないかと思います。ただ、せっかく作ってもこの種の映像には著作権がありますので、勝手にHPにアップロードし、共有化できないのが苦しいところです。

そうしたことから、ここでは、せめて無料で入手できる可能性のあるビデオで
「慣性」や「質量」について良質な映像を部分的に含んでいるソースを紹介し
参考にしてもらいたいと思います。

  1. 「 宇宙での理科実験」第2巻、宇宙開発事業団
  2. 「航空機による微小重力実験」(JEM利用青少年プログラム) 日本宇宙少年団
  3. ケネディスペースセンターの中にある「宇宙教育センター」にはさまざまな宇宙関連の映像がストックされてあり、ダビングが自由にできます。ただ、現地まで出向かなければいけないのが、最大の難点です。NASAは教育使用について映像使用がフリーになっているのは、とてもありがたいことです。
  4. これに対してJAXAは国民の税金で作られた映像をなぜかNASAのように国民に解放しません。映像の使用手続を煩雑にしています。

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