霧箱のサイエンス(3) 極小から目に見える世界へ

α(アルファ)線の莫大なエネルギー

α線は高速で進むヘリウムの原子核風船や飛行船に使われているヘリウムガス。
そのヘリウムの原子核が、大きな運動エネルギーによって光速の約20分の1(1000km/s)という猛スピードで運動しているのが、α線の正体です。

このα線の運動エネルギーは、なんと、通常のヘリウム原子の、108倍(1億倍)にもなります。

極小の世界から、目に見える世界へ

このα線は、通り道の酸素や窒素の原子から電子をはぎとりながら空気中を6~7cm進み、光速の1/20の速さ(1000[Km/s])から、およそ1000[m/s]くらいの速さまで減速。最終的には近くの電子とくっついて、安定したヘリウム原子に変わります。あとには、ばらばらになったイオンが大量に残されています。

その膨大な数のイオンがそれぞれ核となり、アルコールの雲をつくります。そうして、見えるはずのない小さい原子核の飛跡が、人間の目で見える数ミリの雲の現象にまで拡大されるのです。

10-15 m もの極小世界の出来事が、数mmの目に見える現象へとつながるのは、実は、原子核1個が持つ運動エネルギーの大きさのためなんですね。

はみだしコラム 『放射線の種類』

放射線は、大きくわけて3種類。それぞれ持つエネルギーが違います。

  • α (アルファ) 線:高速のヘリウム原子核。
    薄い紙一枚で止まります。
  • β (ベータ) 線:高速の電子。
    アクリル板で止まります。
  • γ (ガンマ) 線:高エネルギー電磁波。
    (電磁波=電子レンジの温める光のようなもの) 分厚い鉛の板でやっと止まります。

また「宇宙線」というのは、宇宙空間を飛び交う放射線。目には見えませんが、地球にも常に降り注いでいます。いまこの瞬間も、ほら、あなたのそばを通っているかもしれませんよ。

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