WEB物理とは

Web物理は、生徒にとっても教師にとっても納得のできる、言ってみれば「教えるに値する」物理の授業プランを構築していく場です。併せて、授業を実践した側からの体験記や注意点などもお知らせしていきます。コメント欄やメールなどにより、サイトをご覧の皆さまの意見を頂戴することで、この授業プランをより良いものへと成長させて行きたいと考えております。

現状の教科書による授業などに本質的な欠落を感じ、よい授業を共に作ってみたいとお考えの方、あるいはこうした授業プランを実際にやってみたいとお思いの方、ご参加いただければ幸いです。教科書の劣悪さになげくより自分が納得できる展開をつくるのにエネルギーを注ぎましょう。

また、部分的に展開を使ってみたいという方も是非活用してください。生徒を前に、試行錯誤しながら納得のいく授業を作っていくことがもっとも大切です。

そういうことから、WEB物理ではよく何々授業などというというキャッチフレーズはありません。例えば仮説実験授業は、すぐれた方法だと思いますが、いくらすぐれているからといって同じ授業方法を一年中やることには根本的な疑問を感じざるをえません。

何々の授業、何々法則の授業など世にと出てくるからには、どこかよい点があるからと思います。その授業方法が適している単元ではその方法をとればよいでしょう。他のところでは講義が最適のところもあり、演習でよいところもあり、生徒実験がよいところもあり、さまざまです。どういう風な方法を取るかは、自分の生徒を前にした教師の力量が問われている大切な判断です。その判断を放棄してはいけません。

まずは、力学から始まる、1年分の授業プランの構築からスタートします。

授業プランの特色(力学)

『数式を使わない力学』

○可能な限り数式を使わず、物理のレベルは下げません。むしろ上げられます。
ベクトル・三角関数を使わないで済む授業プランとして構成しました。数式を使うと一見高度な物理を展開しているように見えますが、実は生徒はその意味がわからず、ただ公式をアテハメているケースが多いようです。数式は可能な限り使わず、まず、物理概念の日本語による理解に重点をおいた展開をします。

『質量・慣性を中心に』

○質量・慣性の理解を力学の中心におき、運動方程式の理解まで進みます。
現状の教科書では、運動方程式を文系の生徒に理解させるのは無理だという声がよく聞こえてきます。また、理系の生徒にとっても、非常に難しいでしょう。理系の生徒は、やむを得ず運動方程式を丸暗記し、文系はそれを拒否するだけでないかと思います。この授業プランでは、質量・慣性の考えを通して、文理問わず運動方程式が理解できる授業プランを提案しています。

『ストーリー性を持たせる』

○力学にストーリー性を持たせ、単元の流れを感じさせます。
力学に系統的なストーリー性をもたせることで、単元全体のイメージを把握させ、次への理解へと意欲が湧いてくるような構成にします。

『本質をついた実験』

○本質をついた実験を中心に授業展開します
ミスコンセプションを解決するための、必要不可欠で核心をつく実験を実施します。そこで提示される物理現象を生徒で共有し、概念の形成を図ります。

授業プランのベース

教材研究の流れ

物理離れが顕在化する前から、すでに課題山積の物理教育の現状に問題意識をもった教師たちの新しい取り組みがスタートしていました。たとえば、APEJ, PandE他では [実験を中心にすじを通した高校物理の指導」(矢野淳滋)、「ちょい押しの実験」(小野啓一他)、「難しいがおもしろい物理」(平山修)、「力学は宇宙船に乗って」(広井禎)、「教室に無重量空間を」(森雄兒)などがあります。そこで、こうした成果も参考にし、森が授業をしながら力学の授業プランの構成の作業を行なってみたのが、この原案です。

これらの労作が(拙著も含めてしまいましたが)、どういう内容と意義を持つのか、とても興味深いところです。プリントのリファレンスの中で触れていきたいと思います。

授業プランの実践経過

さまざまなレベルの学校で実践

この授業プランの実践は、原案ができてから、すでに10年以上にわたって実践され、改善や修正を繰り返してきました。 共同実践者の協力も得て、進学校・中堅校・学力不振校のどのパターンの学校においても基本内容はおおむね共通で実践をしてきました。

ただ、これは、物理離れ防止の特効薬ではありません。現状で、物理の本質的ポリシーを伝えられ、教師と生徒が納得しうるものではないか、と言うのがこのプランです。

学力に対するフレキシビリティが大きい

このプランの力学では、可能な限り数学を使わないため、物理の内容理解ではレベルを上げられる可能性が大きいとともに、学力差の大小問わず、順応できようになっています。ベクトル・三角関数をまったく使わずに運動方程式まで到達するので、高校1年生からでも実践可能です。

構成上の注

2年の必修物理は1次元に限定して展開するのが良いと思います。2次元にすると、ベクトル、三角関数の導入が不可避となり、数学的煩雑さの影に力学の本質が見えなくなってしまうからです。そういう観点から、必修物理あるいは2年の物理では斜面、水平・斜方投射は避けるのが賢明でしょう。もちろん、学力に余裕がある学校の場合は別です。

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