13.無重量状態での質量

1.質量のビデオ映像
2.アンケートのねらい
3.無重量状態での質量 プリントの問と映像についてのコメント

WEB物理 力学 授業プリント 無重量状態のアンケート [ 授業プリント ]
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1.質量のビデオ映像

前回の内容

前回の内容で、重さは場所による“ぶれ”があることを知りました。そこで場所によってぶれない「質量」という新しい基準を導入しましたが、質量はダイレクトに測定できません。結局、重さや動きにくさで質量を推定せざるをえません。では、その方法とは、どういうものでしょう。

重さがなくなると物体はもぬけの殻か

ここまでで生徒は質量の必要性はわかったかもしれません。しかし質量の力学的性質はまだわかっていないはずです。ほとんどの生徒は、重さがなくなれば物体はもぬけの殻のような状態になると思っています。私たちのまわりでは、重さを持った物体の力学現象ばかりで、物体から重さを取り除いた「質量」の状態は、彼らにとっては一応未体験と言わざるを得ず、もぬけの殻のようにかんがえるのも当然でしょう。ここで”一応”とした意味は、物体に重さがあろうがなかろうが、この場合は同じでこの場合は違うという識別ができる体験をもたないというだけの意味です。実際に彼らは、物体から重さを取り除いた体験を、実はしているからです。

質量を理解するために宇宙へ行き,宇宙から帰還する

宇宙の無重量状態で、重さがなくなったときには、誰の目にも明らかに、物体は重さという上着を脱いではじめて丸裸になります。質量そのものが顕わにむきでてきます。それと同じ現象は日常生活にいくら存在していても、日常生活で納得することは無理なので、どうしても一度宇宙に脱出しなければならなりません。宇宙で質量のむき出しの状態を体験し、その後、地上の現象に帰還します。そして、実はいたるところにむきだしになっていた質量を発見し、現象を再構成していく展開をとるわけです。

概念形成に有効な映像は少ない

問題は、こうした展開を可能とする良質の映像がどれだけあるのか、ということにつきます。この20年近く、私自身、使い物になりそうな映像を集めてみて、それが可能と判断できるシーンが得られるようになりました。使える映像と、その主なソースを上げてみると、以下の通りです

(1)スカイラブでの実験の映像(解像度は良くないがもっとも良質)アメリカ教師協会
(2)ケネディスペースセンターのなかの「宇宙教育センター」所蔵のビデオ
(3)宇宙少年団との磯部・森らによるガラスのコップに鉄球を衝突させる実験。航空機実験の映像。
(4)宇宙開発事業団の毛利の「鉄球と木球の衝突」映像

私自身(3)のプロジェクトに関わった経験から言うと、日本の宇宙映像は「とても貧困」の一言に尽きます。打ち上げ花火のような一過性のイベント中心に内容が構成されており、長期的視野をもった教育にたいする見識が甚だ乏しいという残念な現状なのです。

映像の内容:質量のビデオ映像

(準備中)
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2.アンケートのねらい

このアンケートのねらい

「もし物体から重さがなくなれば、物体は質量の状態が残る。そしてその質量は、重さがあったときと同じように、動きにくさ(「慣性」)はなくならない」生徒がこうした点の理解に到達することが目的です。
その目的を達成するために、多くの宇宙空間での映像が役立ちます。・・のはずでしたが、多くの映像は、「宇宙では地球とはいつも異なった現象がおきるんだな」という誤解を生みました。
誤解の枠組みを整理すると、そこには次の2つの事象が絡み合っています。

(1) 宇宙にいくと無重力になる
・・例えば「宇宙を飛ぶスペースシャトルには、地球の重力は届かない」という誤解

(2) 宇宙では、地球と全く異なった現象が起きる。
・・例えば「宇宙は、なんでも軽く動く、過剰な異空間である」という誤解

宇宙映像によるイメージの変容の自覚化

このアンケートは、主に (2) の誤解を解くことを目的に作成しました。生徒に宇宙映像を見せ、その前後で自分の物質の動きに対する感覚がどう変容していくかというプロセスに、意識的になってもらいたいためです。
一度、生徒の中にできてしまった宇宙に対する誤解は、わかりやすい現象(と教師が思うもの)を一つみせても、なかなかすぐには修正されていきません。そのためには、かれらに見せる映像はさまざまシチュエーションについて、できるだけ数多くの事例をみせながら誤解を解いていく必要があります。

3.無重量状態での質量 プリントの問と映像についてのコメント

[1]的にむけて投げたダーツはどんな運動をするか

この映像は実物撮影されています。宇宙飛行士がダーツゲームに興じており、ダーツがまっすぐ進み、的ではね返される映像です。

[2]止まっているバーベル
[3]バーベルが一定の速さで運動するのに力が必要か

この2つの映像も実物撮影されています。球体(水が入っている?)を棒でつないだバーベルを持ち上げ、そのまま等速運動していくシーンがあります。よく注意すると、バーベルの動かし始めに力を受け棒がたわむのも見え、とても興味深いです。

[4]ダーツが的にぶつかったときダーツと的との間で力が作用し合っているのだろうか

ダーツがささる映像ももちろん、チクッと刺さる映像も撮影されていません。生徒の想像力で考える問いです。

[5]動いている物体を止めるのに、力が必要なのだろうか

図のようなドラマティックな映像ももちろんありません。これは、生徒に、人ごとではなく、自分がその人になったつもりで想像力を働かせてもらいたいための問いです。

[6]物体が体にぶつかるとショックがあるのだろうか

これも、そのものの映像はないものの、とても大切な一連の問いです。

[7]ガラスに鉄球を強くぶつけると衝撃で割れるだろうか

これと同じシーンの映像はあります。航空機を使って微少重力状態をつくり、鉄球をワイングラスに衝突させワイングラスが壊れるようすの映像を撮影しています。重力があるところで同じ実験装置を使い、グラスが壊れる映像も比較のために撮影しています(宇宙少年団の支援で磯部、森 など複数の教員が教育的視点から無重量映像を作製したプロジェクト)。

[8]宇宙飛行士が太ったかやせたかは、どのようにして調べるか

これは、測定している一部始終を撮影した映像があります。しかし、いすの揺れが小さいので、生徒によっては何をしているのか、気がつかないかもしれません。[9]、[10]と関連しています。

[9]腕立て伏せは、力が必要か

そのものズバリの様子を撮影した映像があります。スカイラブというアポロの胴体部分を使った広大な空間で、3~4人が重なり合って腕立て伏せをしている映像があります。

[10]物体を揺するのに、力が必要か

一番、基本的な問いであるものの、この映像はありません。今までの関連した映像から、答えを想像させます。

[11]ピストルの弾丸は、人間の体ではね返されるだろうか

もちろん、この映像はありません。いままでの様々な実験から想像してもらう問いです。ただ、重さがない世界では、鉛の弾丸もピンポン球も同じなるのではないか、という意見は必ず何人かに残ります。

*なお、正答は、成績と無関係であることを断らないと、率直な心が反映した意見が出てこないので、注意が必要です。

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