サイエンスの森
授業が変わる実験



第1回:仕事と熱が同等であることを、どのように示すか?



第2回: 無重量映像を生かした慣性の演示実験[力学1-1]


第3回: 「進もうとする力」を「慣性」に置きかえる課題[力学1-2]



 
  1. 仕事と熱が同等であることをどのように示すか?

どうやって銅粒を手に入れるか…
m.sato
 
ジュールの実験

熱と仕事が同等であることを定量的に示したのは、他ならぬジュールの実験です。


ただ、この実験を授業で行うとなると、回転軸の摩擦をいかに減らすか等、少々
手の込んだ実験装置が必要となるのは明らかで、ちょっと躊躇してしまいます。


小さな魔法瓶に水を入れ激しく振って温度上昇を確認する、といった定性的な
演示実験なら気軽にできるのですが…。



ジュールの実験のような手の込んだものではなく、もっと簡単に熱と仕事が同等
であることを定量的に示す実験装置があれば、これに越したことはありません。


摩擦も生じないような簡単な装置があれば…。




銅粒って?!

それがある(あった)のです!


少し前まで、中村理科から『銅粒』(どうりゅう)という実験教材が出ていました。
これは、巾着袋のような袋の中に長さが3mm程の細切れの銅線の芯(勿論銅
です)がたくさん(500g)入れてあるもので、とても簡素な実験装置?です。


見た目が簡素なこの教材は、実は大変に優れもので、私にとってはまさに目から
鱗ものでした。


実験は至って簡単。単に『銅粒』を高所から落下させて、重力の仕事量を熱エネ
ルギーに変換させるというものです。
落下中の摩擦は考えなくてOK。温度上昇させるのは水ではなく銅なので、
比熱の学習もできるというおまけ?付きです。




実験の様子

でも、はっきり分かるほどの温度上昇をさせるには、相当な高所から
落とさなければならないのでは?と考えますよね。


私は、教室で50mの高さから落下させています。 えっ!50m!?
そんな馬鹿な…。


正確には、1m×50回です。(笑) 失礼しました。


この方法でうまく実験を行うと、およそ1.3度ほど銅粒の温度が上昇します。
計算していただくと分かりますが、有効数字2桁くらいであれば十分に
納得のできる値です。




ご参考までに、授業中に『銅粒』を、1mの高さから50回落とすには2〜3分
かかります。この間に、生徒には銅粒の温度が何度上昇するか、計算させます。


生徒の計算力と、私の体力との競争です。
(500gを50回持ち上げるのは結構しんどいかも…)




どうやって銅粒を手に入れるか…

ここまで紹介しておいてなんですが、先の通り、『銅粒』は現在販売されていません。
理由は単に売れないから、という事のようです。こんなに優れた教材なのに売れな
かったのは、その利用法がうまく伝わらなかったからではないでしょうか。
それはともかく、ないものは自らつくるしかありません。


ここでは『銅粒』の作り方を責任を持って紹介したいと思います。


まず、巾着袋ですが、最近よく100円ショップなどで見かける500mlのペットボトル
の保温用の袋が合うようです。

次に肝心の銅粒です。ひとつの方法に、比較的太い銅線をニッパで細かく切り続けて
いくというものがあります。ただ、この方法をなさった方によると、かなりの労力だった
ようです。(握力を鍛えるにはいいかも…!?)


そこで、私はインターネットでみつけたあるリサイクル業者に問い合わせ、無事、銅粒
10kgを手に入れることができました。
本来なら大口の顧客のみを対象にされている会社ですが、高校の実験で利用したい
という旨を伝えたところ、10kg単位であればという条件で、快く取り引きしてもらうこ
とができました。


ちなみに、値段は銅の相場次第で毎日変わる様です。
また、納期や送料(着払い)など詳しいことは、直接下記に問い合わせてください。



前田金属所 
http://www.k-maeda.jp/
TEL 0774(23)0480  FAX 0774(23)0434



銅粒と袋


クリックで拡大します



温度の測定について

この実験で、ひとつ注意すべき点があります。それは温度計です。
おそらくどちらの高校でもサーミスタ温度計はあると思いますが、プローブが問題
です。普通に付属している筒状の丈夫なプローブは、比較的熱容量が大きい
ため測定に時間がかかったり、誤差がより多く生じたりといった欠点があります。


ここは、できれば、熱容量の小さなフィルム状のプローブを使用することをお勧め
します。このフィルム状のプローブは標準では付属していませんが、別売りで販売
している場合があります。ご確認ください。


真中に写っている黒い柄のプローブが、標準で付属してきたもので、
右の細いフィルム状のプローブが、別売りの熱容量の小さなプローブです。
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